診療科
部門
総合診療科(そうごうしんりょうか)とは、医療における診療科のひとつで、あまりにも専門化・細分化しすぎた現代医療の中で、内科、外科といった診療科や特定の臓器・疾患に限定せず多角的に診療を行う科です。
高齢になると、足腰の痛みや筋力低下といったいわゆる運動器のトラブルや、脳・心臓などの臓器機能低下による全身のあらゆる機能が低下していきます。そうなると症状が複雑になり受診すべき診療科が分からなくなったり、認知機能の低下とともに具体的に症状を訴えることが難しくなったりします。そういう場合は総合診療科にご相談ください。診察および検査の結果をもとに問題点を整理して治療を行い、必要に応じて院内または他施設の適切な専門医をご紹介させていただきます。
また、当院では通院が困難な方には自宅や施設に直接お伺いして診察をおこなう訪問診療もおこなっておりますのでご相談ください。
我が国は超高齢社会となり人生100年時代と言われるようになった一方で加齢による様々な問題が起こってきます。加齢に伴う筋肉量の減少は誰にでも起こる老化現象ですが、それにより日常生活に支障をきたし、病的なレベルでの筋力・筋肉量の減少がある状態を「サルコペニア」といいます。このサルコペニアの状態に加え、加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態のことを「フレイル」と呼び、介護が必要になる前段階と考えられます。
高齢者は、1日床上安静をすると筋力は5%衰え、これが10日間続くと元の状態に回復するまでには約4か月を要するとされています。
サルコペニアの診断基準には「筋肉量の減少」「筋力の低下」「歩行速度の低下」の3つがあります。以下の基準値のうち、1に加え2か3のいずれかが該当するとサルコペニアと診断されます。
1. 筋肉量の減少 | BMI値が18.5未満もしくは、ふくらはぎの最も膨らんだ部分の周囲が30cm未満 四肢骨格筋量 BIA法:男性7.0kg/㎡未満、女性5.7kg/㎡未満 DXA法:男性7.0kg/㎡未満、女性5.4kg/㎡未満 |
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2. 握力の低下 | 握力が男性26kg未満、女性18kg未満 |
3. 歩行速度の低下 | 歩行速度が0.8m/秒以下 |
フレイルの基準には、さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
3. 歩行速度の低下
4. 握力の低下
5. 身体活動量の低下
サルコペニアを予防する上で大切なのは、筋肉を減らさないための適度な「運動」と「栄養バランス」の取れた食生活です。加齢に伴い、運動不足や食事量の低下が気になる方は、無理のない範囲で改善していきましょう。
地域の高齢者に限らず、すべての患者さんに対して切れ目なくつながった診療と看護、およびリハビリテーションを提供できるシステムを充実させ、地域において必要とされる病院を目指し、総合診療科の充実を図るべく努力してまいります。