2020年01月
令和2年のお正月を迎えて
統括院長 杉町圭蔵
令和2年のお正月に際してご挨拶させていただきます。
昨年は平成から令和へと時代の移り変わりを象徴する大きな出来事がありました。一連の公式行事をテレビで見ていて、個人的には、多くの国民に祝福された皇后陛下の心からの美しい笑顔がとても印象的でした。
平成を振り返りますと、幸いに、日本は国際的な紛争に巻き込まれることもなく、平和な日々が続きました。しかし、最近、我が国では地震や台風・水害などの自然災害が増えています。これらは、地球温暖化と無関係ではないように思います。先日のCOP24では、地球温暖化を防止するために温室効果ガスの排出規制について議論されたようですが、肝心のアメリカがソッポを向いているのは如何なものでしょうか。
世界に目を向けますと、各地でテロが頻発し、年間で2万人近くの死者が出ています。先日、アフガニスタンやパキスタンで30年以上に亘って人道支援活動に携わってこられ、ノーベル平和賞に相応しい中村哲先生がテロで亡くなりました。なぜ、このような立派な方がテロの標的になるのか理解に苦しみます。
ところで、厚労省は昨年9月、再編統合の検討が必要な424の公的な病院を公表し、その中におんが病院が入っていました。
日本の人口が減少し、多くの病院が経営的に逼迫する中、当然、病院の再編統合は必要です。しかし、今回は、日本に8412ある病院のうち公的病院1455だけが検討の対象となっており、80%以上を占める民間病院を蚊帳の外としたのでは、再編統合の議論は進みません。また、再編統合を勧める判断基準として、各病院の患者の数を取り上げて、小規模病院の再編統合を推奨しているようです。おんが病院は病床数100と小さな病院ですが、昨年度の病床稼働率は100%を超えて、いっぱいいっぱいでやっており、再編や統合などを考える余地は全くありません。人口が少ない地域においては、設備を重装備した大規模病院では経営が成り立たないので、その地域の人口に見合った規模の病院が必要です。健康的な生活水準を維持するためには、例え過疎地帯であっても病院は必須であり、田舎の小病院が無くなったら、生活基盤が崩壊し、そこには住めなくなってしまいます。
病院を取り巻く喫緊の課題は、小規模病院の数を減らして無医村を増やすのではなく、むしろ過疎地に住んでいても、医療の恩恵を受けることが出来るように、田舎の小さな病院を大切に育てることではないでしょうか。
平成17年に、福岡県立遠賀病院の運営を遠賀中間医師会が引き継ぎ15年経ちました。250床あった県立病院の規模をすでに200床に縮小し、急性期のおんが病院と慢性期のおかがき病院に分け、在宅医療や住民健診にも力を入れて運営しています。この運営方針は、住民の皆様方からも喜ばれており、時代を先取りした我が国の病院運営の一つのモデルではないかと自負しています。
今年も職員一同、医師会の先生方と協力して地域住民の健康を守り、住みやすい街作りに貢献する所存でありますので、どうか皆様方のご協力と暖かいご支援をお願いいたします。